硫安分画

    ハイブリドーマの培養上清や腹水から抗体を粗精製する方法としてよく使われる。通常 30〜40% の飽和度で行われることが多い。硫安分画後さらに精製を行う場合には、収率を上げるために 40% の高い飽和度で行うのに対して、精製をそれ以上行わない場合には純度を高くするために35%の飽和度で行う場合が多い。以下に一般的な硫安分画の方法を示す。

 

(使用する試薬類)

(方法1)

  1. 硫安の粉末をめのう乳鉢で滑らかな微粒子になるまですりつぶす。
  2. サンプルを小さな容器に入れ、氷中で十分冷却する。このとき、サンプル量が少ない場合で抗体濃度が高い場合には(腹水等)1ml 程度の PBS を添加して希釈した方が余分なタンパクの共沈が少なくなり良い結果が得られる。
  3. マグネティックスターラーの上に薄い皿状の容器を乗せ、その中に氷を入れる。
  4. サンプルの入った容器にスターラーバーを入れ、マグネティックスターラーの上の氷容器内でかく絆する。
  5. スターラーバーを回転させながら砕いた硫安を目的の飽和度に対応する濃度(表1. 参照)になるまで極少量ずつ溶液に加える。
  6. さらに氷中で 30min 間かく絆を続ける。(5)、(6) の操作を行っている間にサンプルが白濁してくる。
  7. 懸濁液をマイクロチューブに移し取り、4℃、12krpm で沈澱を分離する。
  8. 得られた沈澱を最初のサンプルの体積と同じ体積の緩衝液に懸濁し溶解させる。この時使用する緩衝液はその後の操作に適したものを選択する。沈澱が残った場合には、遠心して上清を使用する。
  9. 得られた溶液を透析チューブに移し、(8)で使用したものと同じ緩衝液で一晩以上透析を行い硫安を取り除く。

(方法2)

  1. あらかじめ、希釈のために添加する PBS の量を決め、目的の飽和度にするために必要な硫安の量を(表 1.)より計算する。
  2. 計算した硫安を希釈に使用する PBS に溶解する。
  3. 方法(1)と同様にサンプルをかく絆しながら硫安の PBS 溶液を 1 滴ずつサンプルに加える。
  4. 以下(方法1)と同様にして透析を行う。
 (例)

  1ml の腹水を 2ml の PBS で希釈するとする。
  35% の飽和度で分画するとすれば、

  ( 1+2 )ml × 0.194 = 0.582g

  0.582g の硫安を 2ml の PBS に溶解し、1滴ずつ腹水に加えていくことになる。


 

表 1. 溶液の飽和度と添加する硫安の濃度

飽和度(%)

硫安(g/ml)

25
0.134
30
0.164
35
0.194
40
0.226
45
0.258
50
0.291
55
0.326

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